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イノベーションでは、経営と現場の統合が必要であり、経営が戦略上のイノベーションの方向性を決め、現場がそれを実践していくモデルである

第62回 経営から始まるイノベーション、現場から始まるイノベーション(2014.11.19)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆イノベーションはどこから始まるか

世間ではイノベーションの必要性が言われており、企業の経営者はイノベーションをしろという。一方で、これまでのイノベーションは現場から始まることが多かった。新しい技術があれば、自社でも研究開発を行い、その活用方法を模索すべく新しい事業や製品を開発する。

このようなやり方はイノベーションの個人依存を生み出した。日本の経営者の間では、イノベーションは個人によって成されると考える人が多い。つまり、経営者がイノベーションを号令をかけているのは、組織的に対応してほしいということではなく、イノベーターが表れてほしいという願望を言っているケースが多い。

願望である限り、当面の業績がイノベーションの犠牲になることはあってはならないし、不幸にもイノベーターが出てこなくて、なかなかイノベーションが生まれなくてもやむなしとする。おそらく、これが今、多くの企業で起こっていることである。

安倍政権の第3の矢が期待されているにも関わらずなかなか放たれないのと同じように、企業におけるイノベーションもなかなか起こらない。


◆現場の視点は技術から顧客へ

市場や顧客のフロントにある現場はというと、技術から顧客に方向性を切り替えた。顧客の問題を解決してイノベーションを起こそうとしている。しかし、これではイノベーションの意味がない。ある顧客や特定市場に適したものが他の顧客や市場で効果を発揮するとは限らない。

これはいわゆるソリューションというものであり、新しいものである必要はない。というよりも、新しいものであることは好ましくない。

求められているのは、イノベーションを取り入れたソリューションである。もちろん、技術的な新しさが必要だといっているわけでない。組み合せに新しさがあればいい。


◆イノベーションを取り入れたソリューションの起点

では、イノベーションを取り入れたソリューションは現場起点(顧客起点)生まれるのだろうか?ここが一番の問題である。

答えはノーである。だからといって経営起点で生まれるものでもない。

ソリューションビジネスにおいては、現場をフロントとし権限を委譲し、権限移譲も含めて経営は支援するスタイルが定着してきた。いわゆるサーバントリーダーシップといわれるものだ。

しかし、これはソリューションならではであり、上に述べたように新しいものを取り込んでいく場合にはそれを展開する司令塔が必要になってくる。


◆経営と現場の統合が不可欠

このように考えると、イノベーションでは、経営と現場の統合が必要になってくる。現実的な方法としては、経営が戦略上のイノベーションの方向性を決め、現場がそれを実践していくというモデルが必要である。

このときに、戦略は現場の持つ技術を反映して作られるものではないし、現場が考えるソリューションと戦略の間にはギャップがあるのが普通である。その意味で、ギャップを埋める統合が求められるのだ。

ギャップを埋める統合は組織的コミュニケーションによって生み出される。


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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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