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マネジメントはソリューションを見出すことであり、リーダーシップはイノベーションすることである

第48回 イノベーティブなリーダーとは(2014.08.13)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆リーダーシップとマネジメント

このメルマガではイノベーティブ・リーダーという言葉を使っているが、ある人がリーダーというのは本来イノベーティブなものではないかと指摘されたことがある。

そのとおりで、新しいことをする人がリーダーだということを強調するために敢えて「イノベーティブ」という言葉を使っている。

今回の戦略ノートはメルマガで使っている「イノベーティブ・リーダー」という言葉の共有をしたいと思う。

まず、最初に皆さんはリーダーシップとマネジメントの違いをどのようにお考えだろうか。いろいろな意見はあるが、今、もっとも一般的に受け入れられているのは

マネジメント:現在のシステムを機能させ続けるために、複雑さに対処すること
リーダーシップ:現在のシステムをよりよくするために、変革を推し進めること

というものである。

マネジメントは現在のシステム(ルール、プロセス、ビジネスモデル)を機能させ続けることが目的であり、新しい問題が起こったときに、どのように現在のシステムの範囲で対応するかという問題解決を行う。一方で、システムそのものを変えようとする変革を行うことがリーダシップである。

一例をあげると、よく稟議のスピードが問題なるが、あるプロジェクトで今の稟議のルールではどうしても時間がかかって納期が厳しいということで稟議の際には事前に予定を告知し、持ち回りすることにした。これはマネジメント的な対応である。

別のプロジェクトでは、同じ問題に対してルールそのものを変えて稟議の決裁者数を少なくした。これはリーダーシップ的な対応である。

◆リーダーシップもマネジメントも新しいことをする

マネジメントもリーダーシップも今までとは違う方法で対応するという点では同じである。持ち回りするという問題解決も、決裁者を減らすという変革も新しいことをすることになる。

しかし、この2つは現状のシステムを変えないようにするのか、変えようとするのかという点において似て非なるものだ。違う言葉でいえば、マネジメントはソリューションを見出すことであり、リーダーシップはイノベーションすることである。

リーダーはリーダーシップとマネジメントの両方をできなくてはならない。ある場合には問題解決(ソリューション)を行い、ある場合には変革(イノベーション)を行う。いずれにしても新しい(イノベーティブな)ことをするのがリーダーである。


◆ソリューションとイノベーションは違う

ここで、重要なことはマネジメントとリーダーシップが本質的に違うように、ソリューションとイノベーションは全く別物だということだ。ソリューションは現在のシステムを前提にした問題解決であり、イノベーションは前提にしない。

たとえば、アップルのiPhoneを考えてみてほしい。その前に発売されたiPodに電話機能をつけてほしいと思っていた人はいるかもしれないが、iPhoneがなくて誰かが何かで困っていたわけではない。その意味で問題解決の結果生まれた製品ではない。

アップルは今の生活(システム)がよりよくなるようにiPhoneを開発した。これがイノベーションであり、リーダーシップの成せる業である。マネジメントにおけるソリューションでは成し遂げられなかったことでもある。


◆リーダーの落とし穴

リーダーが陥りがちな落とし穴はソリューションで何とかしようすることである。ソリューションの方が現実的だし、リスクが少ない。これまでよりよいところもよく分かり、周囲の理解を得やすい。

ところが、これを続けていると破たんすることがある。

電話でいえばガラパゴス携帯と呼ばれているような機能追加はその落とし穴に陥っている。携帯ではドコモのi-modeまではイノベーションだったがそのあとはイノベーションは起こっていない。技術的なソリューションを繰り返しているうちに、スマートフォンという破壊的なイノベーションに壊滅された。


◆問題に取り組むマネジメント、課題に取り組むリーダーシップ

違う言い方をすれば、イノベーションとソリューションの違いは課題に取り組むか、問題に取り組むかという違いである。ソリューションとは具体的な問題に対する解である。多少の抽象度はあっても、携帯電話を情報ツールとして便利なものにするとか、通信品質を良くするといったことだ。

これに対して、イノベーションが取り組むのは課題で、たとえば、行動を自由にするという課題によって携帯電話は生まれてきたし、スマートフォンが取り組んだ課題は情報を生活や仕事の中に活用するという課題である。

つまりイノベーティブなリーダーは、マネジメントの部分で常に今の問題を探しながら、リーダーシップの部分で常に先の課題を探す人でなくてはならない。

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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