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イノベーションのエンジンはチームであり、多くのイノベーションが多様性のあるチームによって生み出されている

第26回 イノベーションのエンジン(2014.02.27)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆イノベーションのエンジン

イノベーションのエンジンというと何を創造するだろうか。技術、プロジェクト、ビジネスモデルなど、いろいろとあると思う。一つだけ挙げるとすれば、筆者はチームを選ぶ。

イノベーションとチームは切っても切れない関係にある。多くのイノベーションがチームによって生み出されているからだ。

イノベーションがチームにより生まれやすい理由は、チームの多様性である。さまざまな専門分野を持つ人が集まり、「チームになる」によって、アイデアが交わり、組み合わせが生まれる。これがイノベーションのエンジンになる。

そこではメンバー一人一人の創造性はあまり問題にならない。問題はチームの創造性である。そのためには個々のメンバーの創造性よりも、自分の領域に拘らないオープンさが重要である。異なる分野の話を真剣に聞いて、そこで自分なりのアイデアを出すことができるかどうかだ。

その人にとってアイデアそのものは平凡なものだとしても、それが専門家にとっては思いもつかないアイデアになっていることは珍しいことではない。専門分野とはそういうものだ。


◆チームは難しい

ところが、日本人にとって意外とこのようなチームを難しい。日本にはチームがないという指摘をする人もいるが、日本人は集まると同質であることを求める。考え方の同質性、能力の同質性(出る杭は打たれる)など、さまざまな面で同質であることを求めるし、一人一人も同質であろうとする。

たとえば、昨今、女性の活用が課題になっているが、女性が活用できない理由はそんなに複雑なものではない。同質性を求めるからだ。同じように外国人にも同質性を求めるので、外国人もうまく活用できない。

実は改善を行うのは同質である方が効率がよい。同じような視点で、同じような思考をする人がたくさん集まると改善は進む。

オリンピックを見ていてショートトラックのスケートリレーというのは面白いと思った。このリレーは変わっていて、滑っていない人も併走する。そして、適当なタイミングでどんどん交替していく。改善はこういうイメージである。誰かが考えたことの上にさらに改善を積み重ねていく。


◆効率を聖域にしない

ところがこれでは、進んでいる方向と別のアイデアはできない。イノベーションでいえば、継続的イノベーションはできても、破壊的イノベーションはできない。破壊的イノベーションを起せるのは異質が共存するチームなのだ。

日本の企業がイノベーションを起こすには、まず、この問題を解消しなくてはならない。つまり、異質が共存するチームで仕事をすることを覚えなくてはならない。

では、なぜ、異質が共存できないのか。これもそんなに複雑な話ではない。効率にこだわりすぎるからだ。

よく品質が聖域化され、過剰品質が起こっていると言われるが、効率も聖域になっている。効率を犠牲にしてまで、多様性にこだわることはまずしない。これも改善文化である。


◆イノベーションには遊びが必要である

イノベーションを生み出すには無駄が必要である。いいかえるといろいろな意味での遊びが必要である。

そもそも、成功より失敗の方が多いのだから、効率にこだわる意味はない(勘違いしないで欲しいのはイノベーションにもイノベーションならではの効率は必要である。それは投資効率を上げることであって、仕事自体の効率ではない)。

効率化は常に正しいという発想をすて、無駄を許容することができるようになれば、多様性の良さが見えてくる。これはおそらく、天動説から地動説に変わるような難しいことであろう。しかし、多様性のあるチームを機能させ、イノベーションのエンジンにするにはまずここを変えていく必要がある。

多様性が生まれればイノベーションを生み出す確率は高くなるが、まだ十分ではない。それはチームのあり方の問題である。エンジンということでいえば、ターボチャージャーをつける必要がある。これについては次回述べることにする。

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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