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第14回 「よいものを作れば売れる」というイノベーションを支える神話(2013.07.16)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆良いもの=品質の時代

今、多くの人が持つイノベーションのイメージはこれだと思う。よいものを作れば売れる。日本の高度成長期を支えてきた技術者の信念でもある。

ところが、高度成長が一段落し、バブルが終わるころにはこの信念が揺らいできた。

よいものを作ってもなかなか、売れない。これは当たり前の話で、高度成長期の「良いもの」とは、品質のよいものだった。ユーザは「品質」のよいものを求め、提供者はそれを分かっているので品質改善にまい進するという中で売れてきた。

ところが、高度成長期が終わるころには品質は共通の価値にならなくなってきた。ちょうど、過剰品質という言葉が使われ出したのはこのころだが、過剰品質とはユーザが求める以上のレベルの品質のことで、一定の品質が保証されているのは当たり前で、それ以上に品質がよくてもそれでユーザが買おうとは思わない。

ただし、この時代の価値感は今でも消えたわけではない。日本品質という言葉があるが、品質に絶対的な価値感を持つ人がいて、水準以上の品質は競争力になる(良いものを作れば売れる)と感がている。


◆良いもの=消費者が求めるものの時代

といった流れで、良いものを作っても売れなくなってきたので、ユーザが何を求めているかを探し出し、それを提供しようとした。つまり、顧客が求めるものがよいものという時代だった。

ユーザはきかれて欲しいものを答えても、買うかどうか、使うかどうかを判断するのは別の問題である。むしろ、顧客が欲しいと言っているものは、その機能があれば購入の検討の対象になると言う意味だ。

故スティーブ・ジョブズは「ユーザは自分が何が欲しいか知らない」と言っているが、まさにそうで、最終的に欲しいかどうかは製品を見て考えるわけだ。

にも関わらず、開発力の高い日本企業はそのような声を聞いて製品に反映させていった結果、やたらと多機能化し、ガラパゴス○○と言われる製品に変態していった。


◆絶対的にいいものはある

顧客の要望で作った製品をガラパゴスと揶揄されたにも関わらず、「良いものは売れる」神話は変わっていない。顧客の声に代わる、「絶対的にいいもの」が何かあると信じている。

でも、商品レベルでは難しそうだ。「コンセプト」と「価値感」だということになる。この後でてきたものは、プレミアムとか、エコとか、スマートとか、挙句の果ては「つながる」などいろいろと試行錯誤をしているが、これといったコンセプトは見つかっていないのが現状だろう。これを探すために、イノベーションと叫ばれてきたわけだ。

余談になるが、コンセプトの中で誰もが気にしながら登場しないのが「シンプル」なのだが、基本的に高付加価値化によって価格のポジショニングを維持する戦略の中では難しい話なのかもしれない。


◆「良いものを作れば売れる」問題の本質

「良いものを作れば売れる」問題の本質は、価値感の多様化により、市場のセグメントが小さくなり、メガヒットが生まれにくくなってきたことにあると言われている。たとえば、エコというコンセプトの中で電気自動車を考えてみてほしい。電気自動車を求めるセグメントは非常に小さい。技術的な問題があるものも、石油がある限り、走行距離が伸びてもこのセグメントが爆発的に広がることはないというのが専門家の予想もある。

環境への影響が小さく、エネルギー効率がよいというのは、相対的な問題ではなく、絶対的な良さである。ところが、それが受け入れられない。なぜだろうか?

よく環境活動をしている人たちが、一般市民の環境への意識の低さを嘆いている。言い分はともかく、環境問題は重要だと考えながらも関心事としてのプライオリティは低い。このような人たちに、環境に優しい車と作ったからといって自動的に売れるなんてことはあり得ない。一方で、ガソリン車と同じ値段で、同じ走行距離、そして燃費がよいとなればそのような車があることを知れば売れるだろう。ただし、こちらは相対的な価値感であるので、ライバルがもっと安くて燃費のいいものを出せばそちらが売れる。

実は上に述べたシンプルが取り残されているという問題も根っこは同じだ。大は小を兼ねると考えている人に、使うことがない機能でもなくした商品を売ることが難しい。機能を削ると値段を下げないとうれなくなる。


◆破壊的イノベーションには価値観を変える必要がある

必要なのは価値感を変えることだ。製品レベルだけではなく、コンセプトレベルでも十分なセグメントが見込めないとすれば、セグメントを大きくするしかない。つまり、価値感を変えることだ。

そのためには、良いものを作れば売れるではなく、「自分たちがよいを思っているもの、ことを売り込む」ことが不可欠である。イノベーションの活動の中にこの視点が欠けていることが多い。クリステンセンのいう、「持続的イノベーション」の中では、相対的優位が問題になるので、ユーザに分かりやすく、良いものを作れば売れる。クルマの例でいえば、燃費のイノベーションである。ライフサイクルコストが安くなれば売れる。

しかし、新しいコンセプトを提唱する場合や、破壊的イノベーションを仕掛ける場合には、良いかどうかの判断をユーザに委ねても、価値感を共有する人にしか判断できない。その価値観を売り込んでいくことが重要なのだ。電気自動車はまさにそういう商品である。

今回はここまでにするが、売込みの話は戦略ノートのひとつのスレッドとして、今後も議論していきたい。


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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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