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第14話 イノベーションの進捗管理(2013.03.25)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆なぜ、闇業務にするのか

前回、2013年のGEの「グローバル・イノベーション・バロメーター」の結果を紹介した。これから分かるように、日本の企業は(欧米ほどでないにしろ)、80%の企業がイノベーションの重要性を認識しつつも、それに見合うだけのリソース投入をしていない。また、環境や仕組みづくりも欧米に大きく劣っている。監修された米倉先生の言葉を借りれば、「イノベーションが闇研究から偶然生まれる」と考えている。

なぜなのだろうか?と考えてみると、いくつかの理由が考えられる。

真っ先に思い浮かぶのが、企業として公式の仕事にしてしまうと結果を求められ、仕事の性格上、失敗することが多くなる。これを嫌がっている節がある。それならば、ある程度の目途がつくまで闇で行うことに目をつぶるというパターンだ。これは理由は日本企業では昔からあったパターンだ。

これはこれで、それでも業務のパフォーマンスが低いという別の問題がある。ある企業の役員とこの話になったときに、サービス残業しているから問題ないと平然と言いきられて唖然としたが、まあ、実態なのだろう。これを合理的に行おうというのが、第11話で紹介した3Mやグーグルが採用しているルールだ。

◆イノベーションをどのように評価するのか

二つ目は、失敗と関連するが、評価の問題だ。前回少し触れたように、イノベーションにおいては、失敗を評価すべきである。この点については分かっていない(失敗なしに新しいものが生まれるを考える)マネジャーの方が少ないのではないと思う。

ところが、このような失敗を評価することは意外と厄介である。一つには失敗の仕方によって評価を変えなくてはならないという問題がある。成功はどんな方法であれば成功として評価すればよいが、失敗は失敗の仕方を評価しなくてはならない。

このこと自体が大変難しいのに加えて、同じ人が失敗を評価される仕事と成功を評価される仕事を兼務するというのは指導が難しいという問題もある。実際に失敗を評価する業務のという仕組みをいれた企業があるが1年でイノベーション担当を分けて兼務をやめさせてしまった。そのくらい難しい。

◆個別のイノベーションの進捗管理

評価の難しさと関連するが、闇業務にしておきたい3つ目の理由として考えられるのが、進捗評価の難しさいである。

上の失敗を評価する業務の仕組みづくりの中で、評価と進捗評価のために考えたのが、メトリクスである。実は成功とか失敗とか言っているがこれは主観的というか、常識的な判断で、実務上あまり意味がない。必要なのは、目標の設定と、目標を達成できたかどうかという判断である。これは、失敗を目指そうと、成功を目指そうと同じだ。

この企業のサービスは内容が分かりにくいので架空の例に置き換えて説明する。「ダントツのサービス品質」というイノベーションを狙っている航空会社があるとする。そのためのアイデア(イノベーションのネタ)はいくつも出てきたが、そのうち、可能性のあるアイデアとして残った一つが、「荷物を持たずに家から目的地まで」だった。これでできるという確信的な実現方法はない。そこで、可能性のある方法を徹底的に洗い出して、一つ一つ、パートナーを探して可能性を探っていった。可能性を潰した数が進捗ということになる。

◆イノベーション全体の進捗管理

イノベーションがややこしいのは、可能性を当たっていったときに、答えが残るとは限らないことだ。そこでどうするかが問題になる。

言い換えると、イノベーション全体の進捗状況を管理しなくてはならない。イノベーション全体の進捗状況は、個々のアイデアの実現のような消込ではない。最終的に実現できる可能性を評価しなくてはならない。ここがややこしいところである。

ダントツ品質の例では「荷物を持たずに家から目的地まで」というアイデアの実現の進捗は上に述べたように、実現手段の消込の状況で判断できる。そして、このアイデアが実現できる見込みが経てば、ダントツ品質というイノベーションの進捗は進んだことになる。できなければ進捗はない。

進捗管理としては、全体としてどのくらいのイノベーションが達成できるのか、それがどのくらいのスケジュールやコストで可能になるのかという見込みが欲しいわけだ。

◆進捗管理のためのメトリクス

このような見込みを得るためには、ここでも進捗メトリクスを使うとよい。

たとえば、

・可能性のあるアイデアの数
・プロトタイプに至ったアイデアの数
・サービスになった場合の実績期間
・イノベーションに投入した資金
・イノベーションに関わった人数

といったものがイノベーションのプロセスでイノベーションの進捗度として使えるメトリクスである。


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【カリキュラム】
  1.イノベーションを理解する
  2.イノベーションのニーズを見極める
  3.イノベーション機会を作る
  4.イノベーションを実行する
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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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