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第11話 イノベーション実行の体制・リソース・プロセス(2013.02.27)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆体制・リソース・プロセス

前回までイノベーションのネタになるアイデア出しについて述べてきたが、今回からはアイデアに基づく実行について考えていきたい。

イノベーションの実行に関して常に問題になるのは、体制とリソースであり、両者は密接に関連がある。イノベーションの中には、そのためのリソースをとらないとできないものもあれば、特にリソースをとる必要はないものがある。リソースをとる場合にはプロセスを決めることもある。

◆リソースをとらない場合

まず、リソースを取らない場合であるが、通常業務の一環としてイノベーションを行うようなケースで、たとえば、業務のやり方を大きく変えるといったケースが考えられる。

マネジメントとしては、メンバーに仕事を与えるときに、常に2種類の目標を与えるといい。一つの目標は与えられた仕事をもっとも効率的な方法で実行することだ。一般的にいえば、ある程度業務プロセスがこなれていると、「いつものやり方」ということになる。

もう一つの目標は、まったく新しいやり方で仕事を行うことだ。ここで重要なことは、仕事をするメンバーに

・仕事の目的は何か
・相手が期待していることは何か
・相手の期待に応えるベストな方法なのか

ということを考えてもらうことだ。

現実的には効率的に結果を出すことが求められるので、新しいやり方が採用されることはほとんどないかもしれないかもしれない。また開発手順などの標準プロセスが決まっている場合には、改善をしながら効率的な方法を決めている。

しかし、効率改善だけでは十分ではない。重要なことは改善の習慣ではなく、常に新しいやり方を求める習慣である。当たり前のようになっている標準があっても、他にもっとよい方法があるのではないかという意識がイノベーションを生む。このような意識づけが進むと、新しい業務プロセスだけではなく、さまざまな分野でのイノベーションのつながっていく。たとえば、顧客サービスの提供のまったく新しい方法を考えて、新しい商品が生まれてくることはそんなに珍しいことはでない。

このような考え方でマネジメントを行う場合に重要なことは、新しいやり方を評価することだ。評価の中で重要なのは、ポテンシャルを評価することだ。これができれば、これまでのやり方は古めいて見えると思えるやり方は引き立てていくことが重要である。この見極めはマネジャーの力量である。


◆リソースをとるが、業務プロセスには組み込まない

次にリソースをとる場合であるが、これにはいくつかのレベルが考えられる。まず、業務プロセスの中に組み込まないレベルがある。典型的な方法はメンバーの一人一人に自由に時間を使わせ、その時間は勤務時間とみなす方法だ。このような考え方の始まりが3Mが始めた「15%カルチャー」といわれる制度だ。3Mでは執務時間の15%は自分の好きな研究に使ってもよいとするもので、3Mの主力製品の一つであるポストイット(TM)は「15%カルチャー」で生まれたとされる。

最近では、グーグルが同じような制度を取り入れて、サイトで提供されているさまざまな製品を生み出しているのが有名である。3Mの「15%カルチャー」は不文律であるが、グーグルの20%ルールは義務だとされている。どちらが効果的なのかは興味深いところだ。

さて、もう少し取り組みのレベルを上げると、プロジェクトなどの形で非定型の業務プロセスにしていくことがある。プロセスにするかどうかの基本的な違いは、組織として体制を組むかどうかの違いである。この体制には単にイノベーションのためのチームだけではなく、イノベーションの成果を展開するためのさまざまなオペレーションが含まれてくる。この形がイノベーションのイメージにもっとも近いものかもしれない。これについては、次回、議論する。



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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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