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リーダーシップは今よりいいものにするためにリスクをとる。マネジメントはリスクをとらない代わりに、変えないことによるリスクを負う

第15話 イノベーティブリーダーの思考法(7)〜リスクをとる(2013.07.19)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆リーダーというのはイノベーティブなものではないのか

これまで、最初にリスティングした項目を適当にまとめながら、6回にわたって、イノベーティブリーダーの思考法を書いてきた。これからも思いついたら書いてみたいと思っているが、一旦、この辺で手じまいしたいと思う。最後にこれを書いて置きたい。

このメルマガの公式グループとして、facebookに「イノベーティブ・リーダーへの旅」というグループを作っている。

このグループを作ったときに鋭い指摘があった。それは

リーダーというのはイノベーティブなものではないのか

という指摘だ。


◆リーダーシップとマネジメントの違い

日本でも変革マネジメントで有名なジョン・コッターが「リーダーシップ論」という本の中で、マネジメントとリーダーシップの違いについて書いている。ここで言っているのはマネジメント=マネジャーの活動ではない。マネジャーはマネジメントを行うが、リーダーシップも必要である。リーダーはリーダーシップをフォロワーから認められて初めてリーダーだが、マネジメントスキルも必要だ。そのような関係にある。

まず、マネジメントだが、

マネジメントの目的は現在のシステムを機能させ続けることであり、そのために「複雑さに対処する」ことを行う。

というものだ。

たとえば、多くの会社が製品開発のプロセスを決めている。これがシステムである。仮に、顧客の声を聞いて、それに基づく設計を行い、開発するというプロセスだとしよう。これを繰り返しながら、製品のバージョンアップをしていると、だんだん機能が複雑になってくる一方で、顧客から新しい要求が出てきにくくなる。そこで、なんとか顧客の声の引き出し方を工夫したりして、このシステムを維持しようとする。

リーダーシップは、現在のシステムをよりよくすることを目的に、「変革」をしようとする。上のような状況で、何をするかといえば、顧客の声をきいて製品に反映するというやり方に疑問を感じて、システムそのものを変えようとする。たとえば、まず、顧客の声を聞くことを止めて、設計者の独断で製品を作り、プロトタイプで顧客の声を聞くことを試みるシステムに変えるといった具合だ。

このようにリーダーはリーダーシップによる活動により、常に、イノベーティブであるといえる。


◆リーダーシップはリスクをとる

従来のシステムを変えることがイノベーティブ・リーダーにとってもっとも重要な思考法である。これまでにのべてきた思考法は、現在のシステムを変えるためにあるといっても過言ではない。

まず、このことを念頭において欲しい。では、そのために何が必要かという話である。変えることは嫌がられる。なぜか。人間は本来変わりたくないと考える人が多いし、変わるとなるとリスクが発生する。リスクまでとって、嫌なことをしたくないという人が多い。

たとえば、アップルがスマートフォンを作ったときに、ハードキーをなくした。アップル以前にも、すべての操作をタッチパネルで操作する携帯電話機はあったが、ハードキーがついていた。

アップルはシンプルにこだわり、ハードキーをなくしたわけだが、これは大変な勇気である。デザイン的にはシンプルになるが、リスクはいやというほどある。

従来の携帯電話で捨てれなかったことから推測すると最大のリスクはユーザから受け入れられないことだろう。このリスクをとって、その上でユーザにより魅力のあるものにしようとした。その結果、さまざまなイノベーションが生まれ、ユーザに大歓迎された。

携帯電話をより良いもの(シンプルで、柔軟性の高いもの)にするには、ハードウエアキーをなくすことが必要だと信念をもって、リスクを覚悟で貫き、成功したわけだ。

このようにリーダーシップは今よりいいものにするためにリスクをとる。マネジメントはリスクをとらない代わりに、変えないことによるリスクを負うといえよう。


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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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