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第2回 営業部門の人びと(2016.07.19)

インフルエンス・テクノロジーLLC  高嶋 成豪


 第1回 みんな『互いに』わかっていない

ステークホルダーとどうつきあうか、がこの項のテーマです。

『影響力の法則』では、人間関係を「交換」と考えます。

良い関係というのは、「もちつもたれつ」で「ギブアンドテイク」が自然に行われています。どちらにも良い結果がもたらされるから「Win-Win」の関係、でもあります。こちらが何を「ギブ」すれば、良い関係になるのか。その手がかりが「立場」です。

影響力の法則』(コーエン&ブラッドフォード著 2007年 税務経理出版)

以前、人事の教育チームにいたとき、営業の人たちが研修に参加してもらうのに苦労しました。彼らが参加したがらない理由は、「お客様との約束があるから」でした。

営業は顧客と直接接するので、顧客の優先順位は高いですよね。みなさんご存じの通りです。その結果、顧客を言い訳に他を後回しにするのはしょっちゅうですし、顧客の無理な要求を受け入れてきてしまうという話もよく聞きます。

研修会場で会うプロジェクトマネジャーやSE、開発のスタッフからは、毎月1回ぐらいは営業が無理な案件を引き受けてきて困っている、という話を聞いています。そのうえ、変更があったときに顧客と交渉するのをいやがるともいっています。

営業以外の人たちから見ると、営業の人たちは、顧客のいいなり、に見えます。一方で、顧客に接している分、顧客側の情報は豊富に持っており、中には情報をもっているのに渡してくれない営業担当者もいます。例えば、売上げの予算額を曖昧にする、他のメンバーには顧客と直接話をさせないなどです。ですからなかには、営業担当者の理不尽な対応のおかげで迷惑している方もいると思います。

では、なぜ営業の人のなかに、このような対応をする人がいるのでしょうか?

それは、彼らの置かれている立場を考えてみると、手がかりがつかめます。
まず、営業が置かれている立場を一言で言えば、会社と顧客の板挟みです。会社は営業に売上げ目標の達成を強く求めます。期の途中からストレッチしてしまうこともあります。そのような圧力は年々強まっているようです。

一方、顧客からも値引きや納期やらの厳しい要求を突きつけられているわけです。営業から見れば、会社と顧客の両方を立てるのは簡単じゃありません。多くの営業担当者は短期的には会社の売上げを追いかけますが、数字を追いかけるほど、顧客に無理をさせることを気にします。

長い目で見れば、顧客の信頼を失うことの方が損失は大きいと感じられるからです。営業の人は、自分たちが会社に売上げをもたらしていると誇りに思っています。自分たちが稼いでいると思っています。実際、営業担当者は売上げで評価されるのが普通です。営業という立場から考えると、自然なことといえるでしょう。

ところが、会社は「稼いでくる」営業の人を必ずしも高く位置づけていません。社長は、開発や管理部門の出身者が続いたりしています。地方を転々として、しばらく本社に縁の無い営業の人もいます。顧客からの苦情を受けるのは営業の人ですが、そのことに感謝を示してくれる人はあまりいません。営業の人のなかには、本社から離れていることの気楽さを楽しむ一方で、どこか大事に扱われていないと感じる人がいても不思議ではありません。
彼らが評価されるのは、あくまでも売上げという「数字」なのです。

さて、このような営業の人と、どのような「交換」が可能でしょうか?

例えば、営業の人に変更についての費用の交渉をしてきてほしい、とします。「ギブ」できるのは、板挟みの解消を助けること。
顧客の矢面に立っていることに理解を示すこと、交渉の労を執ってくれることに感謝を示す、営業の仕事と努力に敬意を払うことなどが、役立つでしょう。

板挟みの解消につながるのは何でしょうか?開発であれば、開発の視点から売上げを増やすアイデアを伝える、顧客の問題解決になりそうなアイデアや顧客が喜びそうな情報を伝える、などは、あなたの協力的な姿勢を伝えることになります。どのような仕事をしていてもそうですが、協力者になってくれる、という人に会ったときの安心感は、代えがたい価値があります。いつでもお客先に同行するよ、と申し出るのも良いと思います。

さらに、営業の人の、これまでの経験談を聞くのも良いと思います。営業担当者同士でなく、他部門の人に自分の体験を話す機会は、実はなかなかありません。それが自分の話(武勇伝?)をおもしろがって聞いてくれる人がいたら、うれしいはずです。

経験談には積極的に耳を傾けましょう。くどい、と感じるかもしれませんが、繰り返し聞くほどこちらも学ぶことがあるかもしれません。営業の人の生態に興味を持ちながら、話を聞くと良いと思います。

このようにして、営業の人たちが置かれている板挟み状態を理解し、共感を示し、過去の経験を尊重することで、彼らとの関係が良くなるでしょう。あなたが彼らと交渉を進めるときに役立つに違いありません。
参考にしていただければ嬉しいです。
次回に続く

◆「影響力の法則(R)」を使ったセミナーを開催します
━【開催概要】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆「影響力の法則(R)」を活かすステークホルダーマネジメントの実践◆7PDU's
  日時:2017年08月25日(金)10:00-18:00(9:40受付開始)
  場所:ちよだプラットフォームスクウェア(東京都千代田区)
  講師:高嶋成豪(人材開発/組織開発コンサルタント。
      インフルエンス・テクノロジーLLC.マネージング・パートナー)
     鈴木道代(株式会社プロジェクトマネジメントオフィス,PMP,PMS)
  詳細・お申込 http://pmstyle.biz/smn/influence20.htm
  主催 インフルエンス・テクノロジーLLC、プロジェクトマネジメントオフィス
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【カリキュラム】
1.ステークホルダーマネジメントとは何か
 ・プロジェクトマネジメントとは
 ・プロジェクトでステークホルダーに動いてもらう
 ・ステークホルダー・エンゲージメント・マネジメント
 ・ステークホルダー影響グリッド
2.ステークホルダーの特定
 ・プロジェクトのパラメータ
 ・ステークホルダー・マトリクス
 ・ステークホルダー・マネジメント戦略
 ・(演習)ステークホルダー・マトリクス
3.影響力の法則(R)
 ・影響力とは何か?
 ・(演習)影響力が発揮されない問題の検討
 ・「カレンシーの交換」メカニズム
4.交換のステップ
 ・ステークホルダーの目標を把握し、カレンシーを計画するステップを学ぶ
5.交換の検討
 ・立上げ、計画、チームマネジメント、コントロール、終結の各局面を切り抜ける交換の事例を検討する
6.現実のプロジェクトの検討
 ・(演習)現実のプロジェクトの検討
   全体で2ケースを検討し、その後グループで各自のケース効果をあげるために討議する
 ・(演習・個人)ステークホルダーマネジメントの計画
7.振り返り
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著者紹介

高嶋 成豪    インフルエンス・テクノロジーLLC マネージング・パートナー

人材開発/組織開発コンサルタント。インフルエンス・テクノロジーLLC.マネージング・パートナー。ゼネラル・モーターズ、ジョンソン・エンド・ジョンソンなどで人材開発に従事。現在リーダーシップ、コミュニケーション、チームビルディング、キャリア開発のセミナーを実施し、年間約1000名の参加者にプログラムを提供している。ウィルソンラーニング・ワールドワイド社によるリーダーシッププログラム、LFG(Leading for Growth:原著はコーエン&ブラッドフォード両博士の共著“Power Up”)のマスター・トレーナー。2007年『影響力の法則 現代組織を生き抜くバイブル』(原題“Influence without Authority”)を邦訳。コーエン&ブラッドフォード両博士から指導を受け、「影響力の法則」セミナー日本語版を開発。日本で唯一の認定プロバイダー。筑波大大学院教育研究科修了 修士(カウンセリング) 日本心理学会会員 ISPI(the International Society for Performance Improvement)会員 フェリス女学院大学講師

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