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第31回 ダイナミック(動的)・スケジュール・マネジメント その2(2010.01.15)

アイ・ツー・マネジメント 代表取締役 岡野 智加

今回も、一昔前の静的なスケジュールとダイナミック(動的)なスケジュールの違い及びダイナミック(動的)なスケジュールのメリットについてお話します。

前回は、Excelなどで作成する静的なスケジュールの問題点についてお話ししましたが、今回は、それらを全て解決する、ダイナミック(動的)・スケジュールについてお話します。

尚、コラムを読んで、Microsoft Office Projectでダイナミック(動的)・スケジュール・マネジメントを行いたいと思った方は、弊社ではセミナーも開催しておりますので、是非ご参加下さい。

■ダイナミック(動的)なスケジュールとは?
静的なスケジュールは、開始日と終了日を指定し、固定にするスケジュール方法ですが、ダイナミック(動的)なスケジュールでは、作業の依存関係と期間を基に、各作業の開始日と終了日を算出してスケジュールを作成します。

ダイナミック(動的)なスケジュールを作成する際に、プロジェクトマネジメント・ソフトウェアを使用すれば、各作業の依存関係と期間を指定することによって、プロジェクトマネジメント・ソフトウェアが自動的に各作業の開始日と終了日を計算してくれるので、非常に効率的にスケジュールを作成、マネジメントすることができます。

本コラムでは、弊社が教育を行っている、Microsoft Office Projectをプロジェクトマネジメント・ソフトウェアとして使用して解説します。

例えば、期間を変更する場合、静的なスケジュールは、ある一つの期間を変更してもそれ以降のスケジュールは変わりません。なぜなら、開始日と終了日が指定(固定)されているので、他のタスクの期間が変更されてもそれらは変わらないからです。

●静的スケジュール例:期間変更前のスケジュール
開始日と終了日が固定されている。


●静的なスケジュール例:期間変更後のスケジュール
「セミナーの企画」の期間を3日から2日に変更しても、このタスクの終了日は自動的には変わらないし、今後のスケジュールも何も変わりません。
従って、期間を変更する場合は、手動で、このタスクの終了日と、これ以降のタスクの開始日終了日を変更し、バーの長さも手動で変更しなければならないので、非常に非効率的です。


一方、ダイナミック(動的)なスケジュールは、タスクの期間を変更するだけで、このタスクの終了日は自動的に計算され、そして、これ以降のタスクの開始日と終了日も自動的に計算されて新しいスケジュールが自動的に作成されます。

●ダイナミック(動的)なスケジュール例:期間変更前のスケジュール


●ダイナミック(動的)なスケジュール例:期間変更後のスケジュール

「セミナーの企画」の期間を3日から2日に変更すると、自動的にこのタスクの終了日が計算され、そして、これ以降のタスクの開始日と終了日が再計算され、新しいスケジュールが自動的に作成されます。
尚、Microsoft Office Project2007より、ある部分を変更したことによって、他のどの部分が自動的に計算されて変更されたのかが分かるように、変更された部分のセルの色が変わるようになりました。今回の場合は、期間を変更したことによって、このタスクの終了日及び今後のタスクの開始日と終了日、そしてプロジェクト全体の期間が自動的に変更されたことが、セルの色が変わったことによって確認することができます。
左側の開始日と終了日が自動的に変更されることによって、右側のバーも自動的に変更されます。
よって、「セミナーの企画」の期間を1日短縮すると、プロジェクトの終了日が1日短縮されて、11月11日から11月10日になることが一目で確認できます。


また、Microsoft Office Projectでは、スケジュールを色々な角度から分析できるよう、様々なビューと呼ばれるものがあります。
例えば、上記の例で言うと、「セミナーの企画」の期間を1日短縮する前と後のスケジュールを比較することもできます。
下のグレーのバーが、1日短縮する前のスケジュールで、上のバーが、1日短縮した後のスケジュールです。


■ダイナミック(動的)なスケジュールのメリット
上記のように、静的なスケジュールとダイナミック(動的)なスケジュールとは違いがあるのですが、このことによって、ダイナミック(動的)なスケジュールは、以下のような静的なスケジュールの問題点を全て解決することができます。

●作業が遅れた場合に、今後のスケジュールや問題点が見えない ⇒過剰管理になり易い
静的なスケジュールでは、ある作業が遅れたことによって、今後のスケジュールはどのようなスケジュールになってしまうのか、そのことによってどのような問題があるのか、重要な期日は守れるのか、といったことが全くわかりませんので、全て頭の中で考えていかなければいけません。
従って、今後のスケジュールや問題点が可視化できないので、とくにかく全てのタスクが遅れないようにと、過剰に管理してしまっている場合も少なくありません。

しかし、ダイナミック(動的)なスケジュールは、ある作業が遅れたという実績を入力するだけで、その後のスケジュールを自動再スケジュールしてくれるので、今後のスケジュールがどのようなスケジュールになるのか、一目瞭然です。
また、Microsoft Office Projectを使用している場合は、重要な期日が守れない場合は、ウィザードを表示して警告してくれます。

●シミュレーションが難しい
例えば、このタスクに人を一人投入すると、どのようなスケジュールになるのか?といったようなシミュレーションが、静的なスケジュールでは簡単に行うことができません。
結局、こういったシミュレーションも頭の中で考えるしかありません。

しかし、Microsoft Office Projectでダイナミック(動的)なスケジュールを作成している場合は、あるタスクに人を追加するだけで、そのタスクの期間を自動計算し、そして、今後のスケジュールを自動的に再スケジュールしてくれるので、シミュレーションも非常に簡単です。

●スケジュールの変更に手間がかかる
上記のように、あるタスクの期間を変更するなどのスケジュールを変更する際、静的なスケジュールの場合は、大変手間がかかります。
ですから、静的なスケジュールの場合、なるべく変更はしない、あるいは、スケジュールは最初に作成したまま、更新をしないということもあります。
これでは、今回の計画は現実的だったのか、どのような教訓があったのかが全く見えないので、継続的な改善ができず、プロジェクト・マネジメント・レベルは全く向上しません。

しかし、ダイナミック(動的)なスケジュールは、タスクの期間を変更するだけで、今後のスケジュールが自動的に再スケジュールされるので、大変効率的にスケジュールの変更を行うことができます。
また、最初のスケジュールと実際に実行した結果のスケジュールとの比較ができるので、そこから得た教訓は、今後のプロジェクトに役立てることができ、継続的改善を行うことができます。

このように、ダイナミック(動的)なスケジュールは、静的なスケジュールに比べて大変メリットがあります。
次回は、実際にMicrosoft Office Projectを使用して、これら、ダイナミック(動的)なスケジュールのメリットについてお話したいと思います。

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 8.コミュニケーション計画書の書き方
 9.プロジェクト計画全体の整合と各計画書の調整
 10.プロジェクト計画書の使い方と段階的詳細化
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著者紹介

岡野 智加    アイ・ツー・マネジメント 代表取締役

大手ISベンダーなどにてOracleをはじめとするソフト・トレーニングの講師経験を経て、現在、Microsoft Office Projectセミナーに特化した教育事業経営を行っている。
1998年に日本初の、プロジェクトマネジメントの世界標準であるPMBOKTM(Project Management Body of Knowledge)に準拠したMicrosoft Office Projectセミナープログラムを独自開発。これまでの単なる操作方法を習得するセミナーではなく、プロジェクトマネジメントプロセスに従ったMicrosoft Office Projectの実践的活用ノウハウが習得できるセミナーを開発。
開発当初からこの今までに無い実践的な内容のセミナーは、当時、プロジェクトマネジメントをいち早く導入しようとしていた日本の最大手企業から高い評価を得る。
マイクロソフト社からも評価され、、2002年には日本初の米国マイクロソフト社公認Microsoft Office Project Official Partnerに認定される。
2002年に出版した書籍は、これまでの単なる操作方法を解説する書籍ではなく、プロジェクトマネジメントのプロセスに従ったMicrosoft Office Projectの活用方法が解説されているということで、大ベストセラーとなり、売れ続けており、その後の書籍及び日本中のセミナー企業へ多大なる影響を与える等、Microsoft Office Project講師として日本におけるリーディングパーソンである。

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