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第12回 クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメント その2(2008.01.18)

アイ・ツー・マネジメント 代表取締役 岡野 智加

前回は、以下の内容についてお話ししました。

従来のプロジェクト計画では、プロジェクトは不確実性が多いので、その不確実性に対応するために、作業時間に充分な余裕を持った見積もりを行っていました。
しかしながら、余裕を持った作業時間の見積もりをしているにも関わらず、プロジェクトは遅れてしまいます。
そのメカニズムとして以下の5つを挙げました。

・ 学生症候群
 余裕期間があると、余裕があるからと、ぎりぎりまで他の作業を行い、結局開始が遅くなってしまい、作業が遅れてしまう。
・ パーキンソンの法則
 仕事は予定工数を全て使い切るように拡大するという法則。
・ マルチタスク
 あれもこれもと並行して作業を行うと、作業の切り替え時間分、時間を無駄にしている。
・ 要員の従属関係にあるタスク
 プロジェクトの作業というのは、単なる作業の依存関係だけでなく、その作業を行う「人」にも大きく依存している。

上記のようなメカニズムより、充分な余裕を持って作業時間を見積もったとしても、その余裕時間が適切に使用されていないため、プロジェクトは遅れてしまうのです。
では、これは、どのようにしたら解決するのでしょうか?

解決方法としては、余裕時間を一つ一つの作業(担当者)に持たせるのではなく、プロジェクトで共有し、それをプロジェクト・マネジャーが管理するということです。
今回は、それを実現する、クリティカルチェーン計画の作成手順の前半についてお話しします。

■クリティカルチェーン計画の作成手順
クリティカルチェーン計画の作成手順は以下の通りです。
      

この手順のうち、1〜6はMicrosoft Office Project(以下MS Projectという)を使用して作成することができますが、7〜10については、MS ProjectのアドオンソフトであるCCPM+を使用することで実現することができます。
CCPM+は、MSIのホームページより試用版をダウンロードすることができます。
尚、無料説明会も定期的に行われております。

では、上記手順に従ったクリティカルチェーン計画の作成手順についてお話します。

MS Projectで、以下の手順に従ってプロジェクトスケジュールを作成します。

【1】新規プロジェクトファイルの設定
新規のプロジェクトファイルに以下の設定をします。
・ プロジェクト名及びプロジェクト概要の入力
・ プロジェクトの開始日または終了日の設定
・ プロジェクトカレンダーの設定

【2】WBSの作成
以下の入力をしてWBSを作成します。
・ タスク名フィールドにWBSの要素成果物を入力してレベルを設定
・ ワークパッケージのアクティビティを洗い出し、WBSと同様にタスク名フィールドに入力してレベルを設定
・ テキストフィールドなどを使用して、それぞれのアクティビティを実行した結果アウトプットされる成果物を入力
・ マイルストーンの入力
必ず、プロジェクト終了のマイルストーンは設定

  

【3】依存関係の設定
各アクティビティにリンクを設定します。
リンクを設定することによって、あるアクティビティの成果物は、どのアクティビティに成果物を渡していくのかという関係が明確になります。
尚、宙ぶらりんになったり、途中でリンクが途切れたりしないよう、全てのアクティビティが、プロジェクトの終了につながるようにリンクを設定しましょう。
  

【4】資源の割り当て
当プロジェクトに必要な資源を洗い出します。
     

各アクティビティに資源を割り当てます。
 

【5】確率50%で完了する作業時間の見積もり
50%の確率で完了する各アクティビティの作業時間または期間見積もり、作業時間フィールドまたは期間フィールドに入力します。

【タスク配分状況ビュー】
  

【ガントチャートビュー】
 

クリティカルチェーン計画法では、プロジェクトの不確実性に起因する各アクティビティの作業時間の余裕は含みません。なぜなら、余裕を含めても、その余裕が有効に活用されないため、結局プロジェクトが遅れてしまうからです。よって、従来の見積もりの半分の作業時間で見積もります。
そして、各アクティビティに余裕期間を持たない代わりに、プロジェクト全体で余裕期間としてのバッファを共有します。

このような計画方法により、従来の計画方法に比べて納期を現実的に短縮することができます。
  
   期期間係数50%で各アクティビティの期間が半分になる

尚、この作業時間の見積もりは、CCPM+に事前に設定された期間係数(既定は50%)に従って自動的に計算することもできます。
手順としては以下のようになります。

・ CCPM+ツールバーの[オプション]ボタンをクリックして表示されるダイアログボックスの[バッファ]タブで期間係数を設定
・ 各アクティビティを完了するために必要な作業時間または期間を見積もり、期間フィールドに入力
・ 期間フィールドの値をCCPM+の低リスク期間フィールドにコピー
・ CCPM+ツールバーの[期間係数を適用]ボタンをクリック
低リスク期間フィールドの値にオプションで指定した期間係数を乗じたタスクの期間を自動算出

【6】資源の平準化

MS Projectは、既定では、クリティカルパスは自動的に計算され、以下のように赤く表示されます。
 

クリティカルパスは、あくまでも作業の依存関係でネットワークを作成しているので、資源の競合については考慮されていないため、現実的なスケジュールではありません。
例えば、上記の例であれば、リソースAさんは、3つのアクティビティを同時に行うことはできません。

そこで、資源を考慮した、アクティビティネットワークの再検討が必要となります。
3つのアクティビティを同時に抱えているマルチタスクでは、作業の切り替えに時間がかかり、その分アクティビティに余計な作業時間が必要となってしまいます。従って、マルチタスクにならないように、一つの作業に集中するように、一つの作業が終わったら次の作業を行うようなネットワークを再検討します。

上記のような、リソースを考慮してマルチタスクにならないよう、ネットワークを再検討するのが、資源の平準化になります。

この作業は非常に複雑で時間がかかる作業ですが、MS Projectには、これを自動的に行ってくれる機能があります。

つまり、リソースの割り当て状況に従って、作業の重なりをなくすために、アクティビティの開始日を自動的に延期してくれるというわけです。

[ツール]メニューの[リソースの平準化]をクリックして表示されるダイアログボックスで、自動平準化を行うことができます。

     

【平準化の計算方法】
◎[手動]を選択
[平準化の実行]ボタンを押した時のみ平準化されるようにする。
◎割り当て超過として平準化が必要になる基準で[日単位]を選択
 1日の稼働時間以内になるように平準化されるようにする。
【平準化の範囲】
◎[プロジェクト全体]を選択
 プロジェクト全体を平準化するようにする。
【割り当て超過の解決方法】
◎優先順位の決定方法を選択
 平準化するタスクが複数重なっている場合、どのような基準でタスクを延期するのかを選択する。
 標準方式:以下の順でアクティビティが検討され、延期するアクティビティが決定される。
先行タスクがないタスク→余裕期間が長いタスク→開始日が遅いタスク→優先度の低いタスク→制約がないタスク
この方式で平準化した場合、サンプルでは以下のような結果になる。
 

ID順:ID番号の高いものから順にタスクが検討され、延期される。
この方式で平準化した場合、サンプルでは以下のような結果になる。

 

タスクの優先度+標準方式:まず、ユーザーが独自に設定したタスクの優先度が検討され、次に標準方式が適用される。

【利用可能な余裕期間内で平準化する】
 チェックをオフにして、全てのタスクが延期されるようにする。
【個々の割り当てを調整できるようにする】
 チェックをオフにして、個々のリソースのスケジュールが調整できないようにし、タスク全体が延期されるようにする。
【割り当てを残存作業時間に分割できるようにする】
 チェックをオフにして、タスクの中断されて、分割タスクにならないようにする。

手順1〜6をMS Projectで設定することによって、クリティカルチェーン計画のベースが作成されました。
この後の、CCPM+を使用した手順7〜10については、次回お話します。

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 10.プロジェクト計画書の使い方と段階的詳細化
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著者紹介

岡野 智加    アイ・ツー・マネジメント 代表取締役

大手ISベンダーなどにてOracleをはじめとするソフト・トレーニングの講師経験を経て、現在、Microsoft Office Projectセミナーに特化した教育事業経営を行っている。
1998年に日本初の、プロジェクトマネジメントの世界標準であるPMBOKTM(Project Management Body of Knowledge)に準拠したMicrosoft Office Projectセミナープログラムを独自開発。これまでの単なる操作方法を習得するセミナーではなく、プロジェクトマネジメントプロセスに従ったMicrosoft Office Projectの実践的活用ノウハウが習得できるセミナーを開発。
開発当初からこの今までに無い実践的な内容のセミナーは、当時、プロジェクトマネジメントをいち早く導入しようとしていた日本の最大手企業から高い評価を得る。
マイクロソフト社からも評価され、、2002年には日本初の米国マイクロソフト社公認Microsoft Office Project Official Partnerに認定される。
2002年に出版した書籍は、これまでの単なる操作方法を解説する書籍ではなく、プロジェクトマネジメントのプロセスに従ったMicrosoft Office Projectの活用方法が解説されているということで、大ベストセラーとなり、売れ続けており、その後の書籍及び日本中のセミナー企業へ多大なる影響を与える等、Microsoft Office Project講師として日本におけるリーディングパーソンである。

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