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第3回 世代の違い、ジェネレーション・ギャップ (2007.07.27)

永谷 裕子


オジサンと若者(男性と女性)の間の溝を探ってみよう。 今回はこのギャップを埋めるキーワードを先に上げたい。 キーワードはオジサン(プロジェクトでは、プロジェクト・マネジャーあるいは、ラインとプロジェクトを仕切る中間・上級管理職としよう)が若者(プロジェクト・メンバー)の話を聴くことの重要性である。オジサンの定義はいろいろあるが、若者から見たオジサンの総称はダサイ、頭が固い、嫌がる若者を飲みに誘う、お説教し始めたら止まらない、などなど、のようだ。オジサンから見た今の若者は、覇気がない、仕事より私生活優先、頑張りがきかない、根性がない、夢がない、人生計画が甘い、などなど。長年ITの職場で生きてきたオジサンは、今の若者は口ばっかりで行動が伴わない、自分が若かった時徹夜は日常茶飯事、などの“頑張った”話で若者をウンザリさせる。

これらを踏まえて、本当にオジサンと若者の間には深いギャップがあるかどうかはここでは検証しない。必要なことは、ITのプロジェクトは、オジサンと若者は同じ目標に向かってそれぞれの特性とスキルを出し合い、共存していかなければならない、そして、共存するには何が必要なのかを検証していくことである。 オジサンの長い経験からくる知恵、会社での人脈、そして若者のITの最新の技術、経験と感の世界ではなく正論でぶつかってくるある種の清々しさなどをプロジェクトで生かしていかなければならない。さて、共存には何が必要か? 筆者が考えるギャップを埋める重要な一つの鍵は、オジサンが若者の話を聴くことで生まれるコミュニケーションである。

一般的にオジサンは人の話を聴けない。 オジサンは自分が若者のとき、職場で、飲み会で、上司の長い話を散々聞いてきたので、自分がその年になったら仇を取るようにしゃべり始める。オジサンは今の若者(特にIT系の若者は)は自分から話をすることに興味もなければスキルもないと思っている。メールでのコミュニケーションに頼る若者に、オジサンは対人スキルについていろいろ教えてあげなければならない、若者に言って聞かせなければならない、と勝手に思い込んでいる。殆どの場合これは間違いである。オジサンが聴き手に回った其の時に若者は話し始めるのである。 聴くことは難しい。スキルと知恵と根気が必要なのである。 だからオジサンはその努力を怠り、立場上許される楽な話し手に回ってしまうのである。 

プロジェクト・メンバーである若者の話を聴くスキルを磨くといろいろな発見と効用があることに気がつく。

1)プロジェクトでなにが出来てなにが出来ていないか、をプロジェクト・マネジャー主導で問い詰めるより、若いメンバーの話をじっくりと聴く事でより見えてくる。 見えてこないのは聴き方が悪いのである。

2)人は自分の話をじっくりと聴いてもらうと気分がよくなり、聴いてくれる人に良い感情をもつ。話し手、つまりメンバーの自尊心を高める。これはメンバーのモティベーションやチームの士気を上げるのに役立つ。

3)コーチングやメンタリングの基本は聴く力である。 プロジェクト・マネジャーの重要な役割の一つはチーム・メンバーに対して、優秀なコーチであり、メンターであることである。若いメンバーの力を引き出すのはこの聴く力が有効なのである。聴くことで生まれる信頼関係を梃子にプロジェクトを推進していくのである。

4)プロジェクト・マネジャーは自ら100話をするより、90話を聴いてから、10話をする方が効率的に自分の意図が相手に伝わることを心すべきである。そして若いメンバーに話をさせることは、若者が話を整理するプロセスで自らの考える力を養っていくことにもなる。

5) 若者が自ら話しをし、相手が聴いてくれるプロセスで得た気づきでの体験は消えないが、上から押し付けられた、あるいはシャワーのように浴びせられた他人の自慢話や説教は聞き手の心に残らないことを心に留めるべき。プロジェクト・マネジャーから若いメンバーへの一方的伝達は受取り手の行動や認識の変化になかなか結びついていかないのである。

このように話を聴くことで生まれる効果は大きいが、反面、課題もある。これらの課題にどう上手く対応していくかがプロジェクト・マネジャーの力量となる。

課題1)プロジェクトは時間との戦い。 若いメンバーの話をじっくり聴いてやる時間などどこにもない。
対応: これは切実な問題である。 プロジェクトは即戦力での戦いの場である。 長期的な展望に立ったメンバーの教育や養成の余裕が持てないことが多い。それでも若者の話を聴くのはプロジェクトの推進には必須である。プロジェクト・マネジャーは効果的な傾聴のスキルを学び、メンバーと話をする時間を(昼休みやコーヒーブレークででも)意識して作らなければならない。

課題2)若いメンバーの話はまとまりがなく、聴いていても脈略もなく、仕事に対する愚痴、出来ないことの言い訳が多すぎてどうしてもこちらから指導していかなければいけない気持ちになる。
対応:若いメンバーの話を上手く誘導し、話のポイントを探り、話し手が自ら話の脈略を整理させるようにナビゲートする、また“あなたの話を聴いていますよ”と表現する傾聴のテクニックがプロジェクト・マネジャーには必要なのである。

課題3)会議で一人一人の話をじっくり聴いていると、会議がまとまらない。
対策:会議では一人の発言に時間をかけていられないが、今日はこの件について話を聴く、あるいはこのメンバーからはこの話を聴く、今日はプロジェクト・マネジャーとしてのメッセージを伝える、といったようにテーマや課題を決めていく。

課題4)話が苦手、全く話をしたがらないメンバーがいる。彼らには、こちらから言って指導したほうが早いし、彼らもそのように思っているように違いない。
対応:プロジェクト・マネジャーはそれでも話の目的を絞ってまず彼らの話を聴いてみる。 簡単なことである。


課題は他にも沢山あるだろうが、プロジェクト・マネジャーが聴く態度を放棄し、いつも一方的に言って聞かせるような権威でのリーダーシップでチームを引っ張っているやり方は、場合によっては人間関係を壊すリスクが高い。しかし聴くことでチームを纏めるやり方は、反面、対人関係を壊すリスクが非常に低い。 たとえ期待していたような効果は上がらなくて人間関係に与える打撃は殆どない。プロジェクト・マネジャーは聴くスキルを積極的に学び、活用することで若者の心を捉え、若者の考える力を伸ばしていくのが必要と筆者は考える。

著者紹介

永谷 裕子 
MBA, PMP, JUAS認定システムコンサルタント
米国オハイオ州マローン・カレッジ卒業(心理学)。米国オハイオ州立大学でMBA取得。同州の保険会社でプログラマーとしてスタートする。その後、ユーザー企業(主に多国籍企業)、情報処理サービス会社においてSE、ITプロジェクトマネジャーとして多数の情報システム開発プロジェクトに参画する。特に国際的なITプロジェクトに豊富な経験をもつ。2011年まで、PMI日本支部の事務局長としてプロジェクトマネジメントの啓蒙・推進・指導などの活動にあたっている。 著書”ボーダレス時代を生き残れる人、生き残れない人” 訳書(共訳)に”プロジェクトマネジメント・オフィス・ツールキット“(Jolyon Hallows)がある。

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