本文へスキップ

イノベーション実践、コンセプチュアルスキル、プログラムマネジメント、プロジェクトマネジメント、PMOについての最先端の情報、研修、セミナー、コンサルティングをお届けします。

開催決定セミナー

(本社)0774-28-2087

(携帯)080-2441-0805

第1回 「対話(Dialogue)」とは何か(2008.05.13)

オープンウィル代表 中村 文彦


 プロジェクトの失敗要因を分析すると、最も多いのがコミュニケーションに関連する要因であるということが言われています。

 実際、優秀なプロジェクトマネジャーやプロジェクトリーダーに「プロジェクトを成功に導くために最も重要なことは何か」聞くと「コミュニケーション」と回答する人は少なくありません。確かにプロジェクトを失敗させないためにはステークホルダー間のコミュニケーションを円滑にすることが重要です。これらのプロジェクトマネジャーやプロジェクトリーダーの下で運営されているプロジェクトには、コミュニケーションに関する様々な工夫があり、優れたコミュニケーション・マネジメントが実行されています。

 そもそもプロジェクトの成果物は、人の頭脳の中にある思考を何らかの形で表出化し、それをプロジェクトの関係者に伝達していくことで形にしていきます。この点に注目すると、プロジェクトによって生み出される成果物は「コミュニケーションの結晶」であると言うことができます。プロジェクトの成果物が「コミュニケーションの結晶」なら、プロジェクトを運営する上でコミュニケーションが最も重要と捉えることは、極めて自然で本質的だと言えます。

 ところで、昨今のプロジェクトを取り巻く環境には次のような変化があります。
  ・社会における環境の変化が激しくなってきた。
  ・国籍や性別、世代間等の多様な価値観が交錯するようになってきた。
  ・あらゆるものがお互いに影響を与えあうようになり複雑さが増してきた。
  ・オペレーショナルなプロジェクトよりも戦略的なプロジェクトが増えてきた。

 これらの環境変化により昨今では、確固たる目的に沿って計画どおりに進めて行く演繹的なプロジェクトに対して、仮説検証により計画を柔軟に変更しながら進めていく帰納的なプロジェクトが増えてきています。

 演繹的なプロジェクトにおいては、極論すれば、計画されたことを計画どおりに実現するのがプロジェクトチームに課せられた使命でした。このようなプロジェクトにおけるコミュニケーションは、「プロジェクトの要件を正しく把握する」、「関係者に対して情報を速く正確に伝える」といった「情報伝達」が主となります。

 しかし、帰納的なプロジェクトにおいては、上記のようなコミュニケーションでは不十分です。なぜなら、プロジェクトの起点で設定された仮説は、あらゆるフェーズにおいて検証されフィードバックを受ける必要があるからです。

 このようなプロジェクトにおいては、「情報伝達」のコミュニケーションには必要とされなかった「自分自身の考え(仮説)を持つ」、「相手の考え(仮説)を傾聴し尊重する」、「自分自身のメンタルモデル(想定や固定化された概念)を把握する」、「相手の立場で考える(顧客の立場で考える)」、「知性と感情をプロジェクト思考の枠組みにつなぐ」といった態度を持つコミュニケーションの重要性が増してきます。

 そして、上記ような態度を本質的に持っているのが「対話(Dialogue)」と呼ばれているコミュニケーションに他なりません。

 「対話」を辞書で引くと「相対して話すこと」とあります。この「相対する」というところが、「対話」の特徴の一つです。「相対するコミュニケーション」では向かい合っている者の意見や考えの違いや差を明確に意識することになります。議論や討論も「相対するコミュニケーション」ですが、議論や討論はどちらの意見が優れているかの優劣を決めたり妥協点を探ったりするためのコミュニケーションです。

 その一方で「対話」は、異なる意見を否定するのではなく、自分の考えや相対する考えをそのまま「保留」して一緒に観察することでより高次元の仮説を創造するコミュニケーションです。つまり「対話」は、「正(テーゼ)、反(アンチテーゼ)、合(ジンテーゼ)」という弁証法のアプローチを持っており、それが他のコミュニケーションと本質的に異なっています。

 そして、「対話」はその向かい合っている相手が、目の前にいなくても成り立つということも特徴的です。「自己との対話」という表現があるように、対話の本質をふまえていれば、一人でも対話は成り立ちます。また、「自然との対話」や「市場との対話」という表現があるように、「対話」は目の前にいる人との直接的なコミュニケーションを前提にしなくても成立します。

 私は、「対話」を中心に置いてプロジェクトを進めていくことで、より高次の顧客価値を生み出せるようになるとともに、組織開発(チーム学習や自己実現)が推進されるという仮説を持っています。次回からは、日常的な対話のシーンを題材に対話中心型のプロジェクトマネジメントの在り方を具体的に展開していきたいと思いますので、ご期待頂ければ幸いです。


著者紹介

中村 文彦    オープンウィル代表 中小企業診断士

1962年生まれ。明治大学文学部卒。大手食品メーカーの戦略的物流システム開発プロジェクトにプログラマーとして従事した後、営業およびプロジェクトマネジメントを担当。その後、中堅情報サービス企業にて、経営管理全般および組織開発・人材開発を担当し、独立。また、NPO日本プロジェクトマネジメント協会(PMAJ)に所属し、各種研究会やPMシンポジウムの企画・運営等のプロジェクトマネジメント推進活動に参加している。
中小企業診断士、経済産業省認定情報処理技術者(プロジェクトマネージャ、上級システムアドミニストレータ)
著書『ITプロジェクを失敗させる方法 〜失敗要因分析と成功への鍵』ソフトリサーチセンター

メルマガ紹介

本連載は終了していますが、PM養成マガジン購読にて、最新の関連記事を読むことができます。

コンセプチュアルスキル診断

サイト内検索

お薦めする書籍

メルマガ購読

公開セミナー(カテゴリー別)
日付順  カレンダー

すべてのセミナーが企業研修に対応できます。お問合せください。

ブログ

PMstyleプロデューサー

プロジェクト・イニシアチブ

Facebook

Facebook

Twitter

PMコンピテンシーとは