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第26話:5軸を統合した問題解決を行う(2016.06.10)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆はじめに

コンセプチュアル思考には5つの軸がありますが、これは必ずしも個別に使うわけではありません。コンセプチュアル思考によって構想、計画、問題解決、意思決定、対人影響などのマネジメント行動、あるいはアイデア創造、モデリングなどの業務行動を生み出すわけですので、一つの行動を生み出すために5つの思考を混ぜて使うことの方が多いと考えられます。では、混ぜて使うにはどのようにすればよいのでしょうか?
まずは問題解決を対象に考えてみたいと思います。


◆コンセプチュアルな問題解決の手順

図1は概念の世界と形象の世界を行き来しながら行うコンセプチュアルな「問題解決」の手順を書いたものですが、それぞれのプロセスで使う思考軸を示しています。

これから分かりますように、概念の世界と形象の世界の行き来は複数のプロセスにまたがって行われます。例えば、情報収集を具体的に行い、問題特定を抽象的に行う、抽象的な解決策を検討し、具体的な解決策に展開するといった具合です。


問題解決など、定型的なプロセスが定義できる思考であればこのように扱うことができますが、一般的にはできません。この際に5つの軸を使って考えるためには、統合する方法が必要になります。その方法として、図2に示すような方法をとります。まず、5軸の枠を配置し、どこに結論が表れてくるかを明確にします。さらに、5軸の間で関連性を持たせたい軸を明確にします。その上でこの枠を使って情報や洞察を整理していくことによって5軸を使った思考を行う方法です。


◆事故防止の問題解決の例


図3は「事故防止」の問題解決の例をこのフレームで統合したものです。5つの軸それぞれに対して、行き来の情報を記入していきます。さらに、矢印のあるところにはそれぞれを別の視点から考慮します。たとえば、大局/分析と主観/客観の間には矢印がありますが、これは大局/分析の行き来と主観/客観の行き来を混ぜて思考することを意味しています。

大局と分析で
(1)交通事故を減らすには運転者に適度な緊張感を与えることが重要(大局)
(2)適度な緊張感を与えるには、取り締まり強化、視覚効果、聴覚効果、体感的効果など(分析)
という考えが出ていますが、(1)は主観と客観で
(3)運転者の主体的な気づきによって効果が生まれる方法がよい(主観)
(4)絶対的に効果のある方法はない(客観)
という行き来と併せた結果として出てきたものです。また、逆に(2)から(4)のような考えが出てきます。
このように5軸を使って、コンセプチュアルな問題解決を行います。


◆問いから考える

では、それぞれにどのような情報を入れればよいのでしょうか?この問題に対して、まず、各軸に対する問いから考えることを推奨しています。たとえば、大局と分析であれば
・交通事故を減らすにはどうすればよいか(大局)
・そのためにはどのような方法があるか(分析)
といった問いは自然に出てくるでしょう。それに関連して、直観と論理では
・直観的に考えてよい方法はどのようなものか(直観)
・なぜ、その方法がよいのか(論理)
を問いにしています。そして、最終的には
・よいと思われる方法を抽象化すればどうなるか?(抽象)
・抽象化された方法を具体化するとどのようなものか(具象)
で結論を出しますが、ここで具体化の方向性ととして、主観/客観で
・方法を実現するにあたって目指したい方向性はどのようなものか(主観)
・周囲の人たちはその方向性をどう考えているか(客観)
長期と短期では
・短期的によい方法はどのようなものか(短期)
・短期的によい方法はどのようなものか(長期)
を問うようにしています。これらの問いを関連させながら繰り返していくことによって、図3のような思考をし、この場合ですと、抽象/具象を結論として、抽象的な結論として
・体感的な方法により、運転者に適度な緊張感を与える(抽象)
・同時に、一時的な方法を組み合せる(抽象)
を得て、これを具体化すると
・体感として、速度抑制舗装をする(具象)
・一時的として、音声による注意喚起(具体)
といった具体策に行きつくわけです。


◆全体イメージ

ここで注意をしておきたいことがあります。コンセプチュアル思考は全体を把握しつつ、部分と行き来しながら、最適な答えを求める思考で、5軸の総合は全体最適化のために行うわけですが、そもそも全体、あるいはイメージとは何かという話です。

たとえば、社長が全体を把握するといったときに、一つ一つの現象を見ることはできないことは明らかです。では全体とは何でしょうか。、

コンセプチュアル思考では世界とは概念と形象に分けていますが、全体とは概念の一部です。概念とは何かの「本質をとらえる思考の形式」であり、事象に対して、抽象あるいは捨象が必要になります。

捨象という言葉はあまり耳にしないかもしれませんが、ものごとからある要素・側面・性質を抽象するとき、他の要素・側面・性質を度外視することです。抽象化するときには、多くの場合抽象をするだけではなく、同時に捨象をしていることになります。

たとえば、「1人のさわやかで素直そうな若者がいる」を「1人のさわやかな若者がいる」と抽象化したとします。この場合、抽象としては「1つの」「さわやかな」を取り出していますが、一方で、「素直そうな」を捨象しているわけです。

さらに、概念には「抽象概念」と「具体概念」があります。抽象概念とは、「ある性質や関係を,その基体である個々の事物から離れてそれ自体として指示する概念」のことです。例えば,「人間性」とか、「さわやか」などがそうだ。

これに対して、具体概念とは「事物のあらゆる面、他物との関連を明らかにして事物を全体的にとらえる概念」です。たとえば、「人間」、「さわやかな人」などです。

このように考えたときに、全体イメージとは具体概念です。具体概念は本質をとらえているので、本質をとらえているといえるわけです。ここは5軸で全体を統合する際にポイントになりますのでよく覚えておいてください。



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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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