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第4回 プロジェクト課題の本質を見抜く(2017.10.17)

プロジェクトマネジメントオフィス 好川 哲人


◆はじめに

第1回第3回では、ITプロジェクトにおいてプロジェクト課題があり、その課題解決のための少し抽象化したアイデアがコンセプトであり、また、コンセプトからプロジェクトの目的や目標、および計画を決定し、プロジェクトを進めていくことを説明した。
プロジェクト課題を示すのが経営の役割であり、それを実現するのが現場の役割であると考えると、コンセプトはまさに、経営と現場を結び付けるものである。

ここで問題になるのは、如何に適切なコンセプトを設定するかであるが、このために必要なのがプロジェクト課題の本質を見抜き、本質を踏まえた課題解決を行うコンセプトを作ることである。

本号の第4回から第6回まで、プロジェクトにおいてプロジェクト課題の本質を踏まえた実施(課題解決)コンセプトを如何に作るかを説明する。


◆本質とはなにか

まず、本質とは何かを明確にしておきたい。
辞書を引くと、本質とは

「本来の性質。根本の性質。有り方。」
「あるものを成り立たせている特有の性質」
「それなしにはそのものが存在しえない性質、要素」

といった説明が出てくるが、ここではもう少し具体的に考え、

「原因や現象の裏にひそむ、それらを引き起こしている真因」

と、定義する。

このように定義すると、

「問題の本質」は「その問題を引き起こしている本当の原因」ということになるし、「課題の本質」は「(上位)目的を実現するために不可欠なもの」であるということ
になる。

それでは、プロジェクト課題の本質について、第1回で取り上げたプロジェクトの例を使って説明していく。

ある通販会社で経営層から「ロイヤルカスタマー戦略のテコ入れによる収益向上」という戦略が打ち出された。その実行の一環としてロイヤルカスタマーへの新たな働きかけをする、これまでにはない仕組みの構築を課題としたプロジェクトを実施することになった。

というプロジェクトだ。

プロジェクトの課題は「ロイヤルカスタマーへの働きかけをするこれまでにはない仕組みの構築」だとした。コンセプトはこの課題を達成するために不可欠なものということになるが、

「ロイヤルカスタマー向けのロイヤルティ制度の導入」

をコンセプトだと考えた。
これまでもロイヤルカスタマーに対する値引きは行っていたし、即日配送、特別な情報提供などできそうなことはいくらでもあるが、その中でロイヤルティをプロジェクト課題の本質に対する解決策だと考えたわけである。

その経緯については後で説明するが、ここで重要なことは、あくまでも本質とは主観的なものだということだ。

言い換えると、何が本質かという問題に正解があるわけではない。
たとえば、読者の一人が値引きを本質だと考え、値引き額を大きくするという課題解決のコンセプトを打ち出してもおかしくはないということだ。この点は誤解されやすいので、注意しておいて欲しい。

このように、プロジェクト課題の本質とは主体者が「経営戦略を実現するために不可欠だと考えるもの」であるが、同時に誰もが納得することが重要である。

納得ができないとせっかく本質を踏まえたプロジェクトコンセプトを作っても、ステークホルダーの共感を得ることが難しい。つまり、本質は主観的なものであるが、一方で誰もが納得するものでなくてはならない。

問題はそのような本質をどうやって見極めるかであるが、その説明をする前に本質を考える際に参考になると思うので、なぜ本質が重要なのかについて触れておきたい。
簡単に言えば、

「複雑な環境の中で、ものごとをシンプルに考えること」

が、本質が重要とされている理由だ。

最近、本質に注目が集まっているのは、経営環境や業務環境の複雑さが増してきていること、生産性向上への意識が高まってきていること、にその理由がある。
どちらも複雑な環境の中では、ものごとをシンプルに考えたいからである。

同様に、コンセプト構想においても、プロジェクト課題の本質を見極めることによって、課題解決に対してシンプルなコンセプトを考えたいというニーズがあり、そのためには課題の本質に注目する必要がある。
(続く)

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著者紹介

好川哲人、MBA、技術士
株式会社プロジェクトマネジメントオフィス代表、PMstyleプロデューサー
15年以上に渡り、技術経営のコンサルタントとして活躍。プロジェクトマネジメントを中心にした幅広いコンサルティングを得意とし、多くの、新規事業開発、研究開発、商品開発、システムインテグレーションなどのプロジェクトを成功に導く。
1万人以上が購読するプロジェクトマネジャー向けのメールマガジン「PM養成マガジン(無料版)」、「PM養成マガジンプロフェッショナル(有料版)」や「プロジェクト&イノベーション(無料」、書籍出版、雑誌記事などで積極的に情報発信をし、プロジェクトマネジメント業界にも強い影響を与え続けている。

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